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患者サービス講座

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職員満足度と患者サービスの関係

患者サービス研究所 三好 章樹 氏

昨今、医療機関での職員満足度調査が注目され、医療機関からの問い合わせが増えています。職員が満足して働き、質の高い医療サービスを安定的に提供したいという医療機関の願いの表れではないでしょうか。
職員満足度と患者サービスとの関係
 お問合せを伺うと、多くの医療機関の方々が、「職員満足度を高めるためには、人を増やし、システムを導入し、給与を上げなければならない」「まして患者サービスを強いるなど、職員の離職を増長してしまうのではないか」と考えていらっしゃるように感じます。しかし、それは実は逆です。給与を上げて留まる職員は、給与が高いところへ簡単に移るものです。また、人やシステムを入れて仕事を楽にしても、これで充分ということはありません。しかも、余裕があり過ぎればいじめや悪口が横行することすらあるのです。サービスマインドのある職員が満足を感じるのは、患者サービスを実践できる環境なのです。患者サービスを唱えない現場には、医療人が魅力を感じることはありません。患者サービスを中心に考える医療機関で勤務している場合、職員は、「給与は高くないけど、患者様の役に立とう」「仕事が大変だからこそ、自分がやらねば」という思いが、プライドにもなるのです。
 したがって、職員に満足かどうかを聴く調査をするよりも、患者サービスをテーマに職員の方々が創意工夫し実践してゆく環境をつくる方が、現場は確実に活性化し満足度が向上します。
職員満足度向上のための3要素
 ここでは、患者サービスが職員満足度向上にもっとも効果的である3つの理由をまとめてみます。
(1)患者サービスは、職員自身の行動が直接患者様に役立ち、患者様の反応が最もダイレクトに返ってくるので、張り合いがあります。雨の日の来院者様に、駐車場のクルマまで傘をさしてお送りするだけで、「ありがとうございます」とお礼を言われたり、笑顔で「どういたしまして。いつでもお声をおかけください」と受け応えたり。直接やりとりをしたことで、来院者様の喜ぶ顔を見ることができる。それが患者サービスの喜びの一つです。
(2)患者サービスは自分自身が評価されるので、大きなやりがいを感じることができます。医療行為や事務手続は、定められたオペレーションを正確にすることが求めらる一方、患者サービスは臨機応変な対応を各自の判断でしなければなりません。つまり、自分自身の気づきや創意工夫が必要なのです。患者サービスを実践して来院者様に喜ばれたことは、他の誰でもなく自分自身が喜ばれたということです。患者様に「あなただから助けられた」「あなたがいるから安心して来ています」と心を評価される、それが患者サービスの喜びの一つです。
(3)患者サービスは誇れる仕事です。以前、「医師の医療行為に関する説明に対して診療報酬点数を設ける」という案が浮上したことがあります。こうなると、患者様は、丁寧に説明されても、心のふれあいを感じることなどできません。患者サービスは、マニュアルにも契約にもなく、気づきと心遣いでするからこそ、患者様から感謝されるのです。患者サービスは、職員の方々にとって貴い仕事であるとして誇りにできるものなのです。
患者サービスを実践する組織づくり
 医療機関では、医療行為や事務処理に関しては、ルールを守ることが最重要とされています。それに加えて、患者サービスに関しては、ルールを超えることを美徳とする組織づくりが大切です。
 先述した患者サービスの喜びや魅力を踏まえ、組織づくりの具体的な実践内容をお伝えしたいと思います。
(1)一般職員には、積極的に患者サービスを発案し、実践することを奨励してください。まず患者サービスとは、職員が楽しみ工夫して行なうことが必要です。患者サービス研究所では、文化祭主義と称して職員一人ひとりが学生時代の文化祭のように、自ら楽しみ工夫しながら実践する組織づくりをおすすめしています。そのためには、職員へのアナウンスをはじめ言いやすい環境づくり、また職員が「ぜひもっとやりたい」というやりがいを体感する仕組みが必要です。
(2)リーダー・管理職は職員がのびのびと実践しやすい組織・環境づくりを心がけ、次のようなポイントを参考に実践してみてください。
・積極的に職員の意見を尊重し、小さなことでもどんどん実践していくことです。そして、結果的に患者様から不満の声が挙がっても、発案し実践した職員の積極性を評価してあげてください。「なぜそんなことをしたのか」と責めてしまっては、職員は萎縮し二度と発案しなくなってしまいます。 ・リーダー・管理職も率先して実施してみることが大切です。患者サービスには「こうすれば良い」という答えはありません。かといって、実践しなければ患者サービスは生まれません。うまくいってもいかなくても、実践したことをまず上司から部下へ伝え、組織内でコミュニケーションをとっていきましょう。
・実践した内容について職員間での情報を共有することも重要なひとつです。職員によってサービスに差があったり、実践するタイミングにより患者様に不公平感を与えることがあります。例えば、ある職員の行為で患者様に不満を与えクレームとなりました。その事実を知らない別の職員が再度同じ行為をしてしまったことで更に大きなクレームに発展してしまうことがあります。こういったことを防ぐためにも情報の伝達はとても大切なことです。フォローとして別の職員が「先ほどは失礼いたしました」と重ねてお詫びをすることや、患者様の退出時にリーダー・管理職が玄関まで出て頭をさげてお見送りすることで、患者様は「病院全体で私を見てくれている」と大きな安心を覚えてくれます。
 こうした日常の気遣いや心遣いひとつで患者サービスが向上し、相乗効果として職員満足度もアップしていくことでしょう。これを機に、職員全員で楽しみながら患者サービスに取り組んでみることをお勧めします。

患者サービス研究所 三好 章樹

〈略歴〉
1965年生まれ、明治大学法学部卒業。
医療事務職員養成校専任教員、医療事務スクール運営事務局、医療機関専門人材派遣会社(株式会社日本教育クリエイト)営業兼コーディネーターを経て、2005年8月患者サービス研究所開設。
患者サービス向上、接遇マナー、モチベーションアップなどの講師として活躍中。  URL:http://www.pcs-c.com