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職員主体で取り組む患者サービスをスムーズに進める「プローモーター制度」

患者サービス研究所 三好 章樹 氏

職員主体で取り組む患者サービスをスムーズに進める「プローモーター制度」
組織全体で患者サービスを向上する意識が高まれば、これほど素晴らしいことはありません。
ところが、現実には、多くの職員が日常業務に追われ、なかなか患者サービスの実践には至らない、という医療機関も多く見受けられます。職員間においても患者サービスに対する意識の温度差があり、「もっときめ細かいサービスをしたい」と思う方もいれば、「そこまでやらなくてもいいのではないか」と考えている方もいます。  また、たとえば、上層部やリーダー、管理職が「ロビーのベンチは、もっと幅を空けて配置して欲しい」「受付のこの張り紙は、柱に貼らずに掲示板に貼って欲しい」「急ぎの場合も、患者様のいる廊下では走らないように」「待合室の室温は、27度になるようこまめに調整して欲しい」というように、気づいた時にそばにいる職員をつかまえて細かな指示を出しても、その場だけの対応となってしまいます。これでは、なかなか組織として患者サービスを向上する動きにはなりません。
すなわち、職員が自発的・積極的に考え、患者サービスの高める組織風土づくりにはならないのです。そこで、今回は、職員みずからが進んで患者サービスに取り組んでくれるようになる有効な手法をご紹介します。
重要な役割を持つプロモーター
各職員にテーマを与えて、プロモーターになってもらいます。プロモーターとは、「組織において中心となって、課題や方向性を示して他のメンバーを牽引する役割」ということができます。テーマは、患者サービスに関するどんなことでも結構です。「待合室を快適にする」「患者様のご意見箱を有効活用する」「全職員の患者様・来院者様に対する接遇応対を向上する」「院内の掲示物を整備する」「クレーム件数を減らす」など、いわば患者サービス向上の分科会を作ると考えてもよいでしょう。
プロモーターは、自ら工夫しても、周囲の職員に知恵を借りても構いません。自分のテーマとなった課題を改善することがミッションです。そして、予算の制限を超えること以外は、どんな方法を選んでもよいこととします。新しいことを始めたり、状況によってこれまで行なっていたことを止めたり、上席者への相談や報告をしながら進めます。細かく指示するよりも包括的に任せる方が、自らのオリジナリティを発揮できるので、職員のモチベーションは向上します。
なお、プロモーターの決め方については、ポイントがあります。まず第一は、「関心がある職員に、関心のある課題を任せること」です。自分がまったく重要性を感じていないテーマを与えられることは、仕事が増える以外の何ものでもありません。むしろ自分が気になっていること、どうにかしなければいけないと思っていることについて「きみの力を借りたい。ぜひみんなのためにもやってくれないか」と頼まれれば、職員は上席者が自分の問題意識を共有してくれていることに心強さを憶え、勇気もやる気も出ることでしょう。そのためには、日頃から、職員の関心や問題意識がどのようなところにあるか、観察しておくことです。
何気ない会話の中で、職員の口から「待合室でもう少しゆったりと過ごせるといいんですけどね」「このところクレームが増えているようです。どうしてでしょう」などと言った言葉が聞かれた時に、「それなんだけど、こんど一緒に改善に参加してもらえないかな。ぜひ意識の高い人の知恵を借りたいと思う」という風に声をかけて、その関心や問題意識を活かして欲しいとアプローチするなどの方法が効果的です。
若い職員だからこそできることがある
プロモーターを決めるコツの第二は、「なるべく若い職員を抜擢すること」です。一般的に、職員が長く勤務すると、問題の背景を知ってしまい、改善できないのも仕方ないと考えたり、やがて問題と感じることすらなくなってしまいます。この点、新しい職員や若い職員の方が、新鮮な目で問題点を見抜いてくれます。また、プロモーターとして若い職員が改善に取り組むこと自体が、他の職員にとって大いに刺激となります。さらに、そのような現場では、若い職員が張り切って改善に取り組んでいることが組織の活性化の起爆剤となり、医療機関全体において患者様応対にも元気や明るさがあふれています。
患者サービスの向上には、このように職員みずからが進んで取り組むよう促す方法が有効です。職員全員が楽しんで改善する組織風土があってこそ、もっとも行き届いた患者サービスを実現できるのです。ぜひ、職員に「こうして欲しい」という指示をするのではなく、「どうしたらよくなるかな?」と相談して患者サービスを向上してみてください。どのようなテーマを与えるとよいか、人選や指名の手順、タイミング、任せ方などについては、患者サービス研究所から具体的かつ効果的な方法をご提案いたします。いつでもお問い合わせください。

患者サービス研究所 三好 章樹

〈略歴〉
1965年生まれ、明治大学法学部卒業。
医療事務職員養成校専任教員、医療事務スクール運営事務局、医療機関専門人材派遣会社(株式会社日本教育クリエイト)営業兼コーディネーターを経て、2005年8月患者サービス研究所開設。
患者サービス向上、接遇マナー、モチベーションアップなどの講師として活躍中。  URL:http://www.pcs-c.com