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患者サービス講座

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「顕在クレーム」「潜在クレーム」「無意識クレーム」とは?

患者サービス研究所 三好 章樹 氏

クレームは、しばしば医療機関側にとって悩みの種とされています。しかし、患者様が口頭、手紙、電子メールなどの形でクレームを伝えてくれることは、改善の貴重なヒントともなります。むしろ、問題となるのは表面化していない不満です。みなさんがお客さんとしてお店に入った際に店員に不満を伝えるのは、かなり大きな不満を感じたときだけではないでしょうか。つまり、クレームは不満という氷山の一角にすぎないのです。この表面化していない不満は、数(暗数)を計測できないばかりか、実はネガティブな口コミによって水面下で悪評を広げるという、恐ろしい感染作用があります。そこで、今回はクレームを分析し、表面化しにくい不満について、対応を考えてみます。
それぞれのクレームの特徴
【顕在クレーム】
口頭、手紙、電子メール、アンケートなどで、来院者様から発信される不満をいいます。「院内の案内表示が見にくいので何とかして欲しい」「看護師さんが事務的だったので不愉快だった」などの来院者様からの不満です。
 
【潜在クレーム】
来院者様が不満を感じているものの、何らかの理由があって発信されない不満をいいます(本来、クレームとは主張を意味しますが、ここでは便宜上包括してクレームと称しています)。「このお医者さん、全然話を聞いてくれないなぁ」「費用の内訳について、もっと小声で説明して欲しかった」など、患者様が不満を感じても言わずに帰ってしまうケースです。
 
【無意識クレーム】
これは、来院者様自身も自覚していない不快感です。「なんとなく居心地が悪い」「なんとなく早くここを出たい」などの感覚で、これを無意識クレームといいます。〈図1〉
各段階に応じた対処方法
【顕在クレームの対処方法】
「あれは困る」「こうして欲しい」とクレームが明示されているので、ひとつひとつ丁寧に対応して解決することが可能です。サービス改善の貴重なヒントにしましょう。
 
【潜在クレームの対処方法】
不満を感じつつ口に出さずに帰ってしまう心理には、実は「コミュニケーションが成立しない病院だ」という意識が働いています。来院者様は、言ったら聞いてもらえると思えば、口にするでしょう。反対に、来院者様が病院職員に対してコミュニケーションが成立しないと感じれば、その気持ちを表さなくなってしまいます。コミュニケーションとは、単純化すると次の4つの心理に集約されます。
■「言いたい」/発信の欲求
■「言いたくない」/発信の拒絶
■「聞きたい」/受信の欲求
■「聞きたくない」/受信の拒絶
この4つの心理が妨げられた時(4つの失望)、コミュニケーションが成立しないと感じます。〈図2〉
たとえば、治療費用のことを、人前で話させてしまったりすると、来院者様は「あの場では言いたくなかったのに言わされた」と感じます。院内の患者様応対において、前述のような4つの失望が発生していないか、各部署で再確認してみてください。
 
【無意識クレームの対処方法】
来院者様さえ自覚していない不満や不快を予防するコツは、人間の行動性向から、快不快のポイントに応じて策を講じることです。たとえば、患者様呼び出し用のスピーカーが反響しやすい場合は、壁に防音シートを張ってより静かな雰囲気にします。このような、快不快は、普段から患者様の目線で院内の環境を見直すことで点検することができます。
 
着眼点が判らない場合は、五感をひとつずつ確認しましょう。
●室内は適度な明るさか、施設の内壁や職員の制服は穏やかな色合いか(視覚)。
●院内のドリンクサーバーの飲み物は、適温、清潔で、美味しいか(味覚)。
●院内が騒がしくないか、外の騒音が聞こえていないか(聴覚)。
●院内に薬品臭がないか、食堂のにおいが拡散していないか(嗅覚)。
●ロビーの椅子が硬くないか、手すりの感触が不快ではないか(触覚)。
 
さらに、室内の温度、湿度、気流が適切か、待合室の前の往来が激しくないか、などの環境を確認することも有効です。このようにセンサーを働かせて環境を改善することで「なんとなく居心地の良い病院」を作っていくことができるのです。

患者サービス研究所 三好 章樹

〈略歴〉
1965年生まれ、明治大学法学部卒業。
医療事務職員養成校専任教員、医療事務スクール運営事務局、医療機関専門人材派遣会社(株式会社日本教育クリエイト)営業兼コーディネーターを経て、2005年8月患者サービス研究所開設。
患者サービス向上、接遇マナー、モチベーションアップなどの講師として活躍中。  URL:http://tokyo.cool.ne.jp/mediserve/index.html