| トップ > 特集一覧 > 患者にとっての「アメニティ」〜前編〜 | ||||
特 集 |
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旧態依然といった批判も少なくない医療業界だが、近年様々な面において、改革、変革が行われている。 中でも病院・診療所のアメニティについては、その向上は目ざましいと言ってもよいのではなかろうか?アメニティは「医療」の本質ではないものの、患者にとっては非常に直接的に感じられるものである。 しかしながら、一部マスコミが取り上げているように、表面的な豪華さや便利さを競うものであってはいけないだろう。 日本一との呼び声も高い「亀田総合病院」Kタワーのアメニティを通じ、その本質を考えることで、メディカル・レピオスアメニティ特集の序章(前編)とする。 |
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| 豪華な設備はあくまでフリンジ | |
| 亀田メディカルセンターのアメニティを取り上げると聞いて、業界関係者や病院を訪れたことがある人は、一般的な病院のイメージを大きく覆す豪華な施設、設備の写真がまず登場しないのをいぶかしむかもしれない(10ページ以降には登場)。高級リゾートホテルと比べても遜色のない内外装や調度品。医療機関であることを感じさせない、飲食、物販、リラクゼーションなどの施設……。 医療施設としてアメニティが充実していることや立派なものであることは、もちろん患者にとってよいことである。しかしながら、実は大事なのは表面的なものではなく、どのように考えてそのことを行っているかということではないだろうか?亀田メディカルセンターには「患者さま中心」という確たる理念があり、さらにはその理念を具現化するにあたっての考え方をしっかり定めているということをまず言っておきたい。 物事において何が重要か?亀田メディカルセンターには「コア」:中心=主、「フリンジ」:周辺=副という考え方がある。例えば直接の医療をコアとすると、アメニティはフリンジである。 もちろん患者が生身の人間である以上、フリンジのアメニティもまた重要ではある。「健康」は人それぞれ捉え方が異なるが、WHO(世界保健機関)の定義では「肉体の健康」「心の健康」「社会的な健康」「魂の健康」の4つが揃ったものとしている。健康には精神的な部分は欠かせなく、また病気(種類や状態によるが)の回復に対しても、精神的な部分が大きく作用する。 では患者にとっての癒しの環境のコアとは何か?亀田メディカルセンターの考え方は、「コアとなるものは『サポーター』であり、いろんな設備はフリンジである」というものだ。 サポーターとは、家族や友人など、患者が入院中も会いたいと望む人のことで、サポーターは冒頭の写真のICチップが内蔵されたセキュリティーカードにより、入院期間中は、24時間いつでも患者に面会できる。つまり、アメニティは医療行為以外の主に精神的な部分で患者にとって重要なものだが、その点において最も必要なことは、愛する人、大切な人と自由に会えるということ。そして楽しい時間を共有するために、様々な設備があるというのが亀田メディカルセンターの考え方なのである。 |
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| 「患者さまサービス」は患者のためだけのものではない | |
| なるべく規制を取り払い、入院中であっても多彩な選択を尊重できるよう、患者にサービスを提供しているのはもちろんだが、前述のように、それは患者のみならず、サポーター、ゲストに対してのものであり、さらにはスタッフに対してのものでもある。 亀田メディカルセンターの「チーム医療」は、一般に言われるチーム医療の枠を超えて、サポーターや患者本人を含めたもの、さらには患者本人が主役であり、医師、看護師、技師、事務員などチームが一体となって健康の回復を目指すのである。例えば一般にナースステーションと呼ばれるものは、患者やサポーターが自由に出入りできるケアチームステーションとなっている。だからこそ院内施設はすべてのメンバーが快適に過ごせることが念頭に置かれているのだ。 |
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| アート・イン・ホスピタルを支えるもの | |
| またアメニティに関する大切なコンセプトとして、「アート・イン・ホスピタル」というものがある。専属のアートディレクター、アナグリウス・ケイ子氏の制作やディレクションによるアートを取り入れ、心休まる人間的な治療環境作りに取り組んでいるのだ。廊下のニッチ(窪み)には、フロア毎に設けられたテーマに沿ってケイ子氏手作りの可愛らしいアートが置かれている(写真左)。例えば、4階女性専用フロアのテーマは「暮らし」。小さな花屋さん、宝石屋さん……といったアートがニッチを飾っている。これはウィンドウショッピングをイメージして作られており、女性特有の疾患に関しては、精神的ダメージが大きいものが少なくないのと、日常生活の楽しみの要素を置くことで、病気の回復、早期の社会復帰への意欲を持たせる意図が込められている。 また、亀田クリニック産科外来の待合室には、アートを用いた妊婦さんの学習コーナーが設けられている。かねてから妊婦さんの体重管理(過体重)が問題となっていたことを受け、アートディレクターや産婦人科医師、栄養士等が意見を出し合い、分かりやすく、なおかつ楽しく学習できるコーナーをと企画したのだ。ただ費用をかけ、趣向をこらすだけではなく、参加をすることにより、スタッフに主体性を持たせると共に、コンセプトをより深く理解することができるからだ。 |
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| 全個室の入院病棟「Kタワー」 | |
| では「Kタワー」の素晴らしいアメニティの数々を見ていこう。まず、「Kタワー」はすべての病室が個室になっている。これは「大人数を一つの部屋に押し込め、就寝や食事の時間までを厳しく規制されている場所が病院と刑務所以外にあるだろうか?」という疑問に対する答である(もちろん他棟には相部屋もある)。 風光明美な見晴らしのよい、最上13階にあるレストラン亀楽亭やラウンジoLioLi (オリオリ)では(写真次頁)、疾患上制限のない患者は適度の飲酒や自由な食事をとることができる。 もちろんサポーターやゲストが訪れたときに患者が共に過ごせる憩いの場所ともなり、勤務終了後のスタッフが寛ぐこともある。また、後で触れるベッドサイド端末によって、レストランからはルームサービスが可能となっている。 物販施設としては、1階の介護&ギフトショップPAOLA(パオラ)。日本にはまだ店鋪のないブランドを含む外国製のギフトやサプリメント、福祉用品などを扱う(福祉用品については別にモデルルーム有)。ウィンドウショッピングだけでも十分楽しめる。またコンシェルジュデスクでは宿泊施設の照会や宅配便の手配をはじめKタワー以外も含めたショップで入手できないものについては、市内で購入してきてもらえる買い物代行サービスもある。 他には1階には豪華でありながら明るくセンスのよいロビー(写真次頁)、本やインターネットなどで病気のことや健康について調べられる情報プラザ“プラタナス”、コンシェルジュデスク、フラワーショップなどがある。女性専用フロアの4・5階にリラクゼーションサロンponopono(ポノポノ)とビューティーサロンNANI(ナニ)。各階の南東には270度の海と山のパノラマビューが爽快なコーナーラウンジ。難治性の患者が多い9階にはメディテーションルーム、またチャプレン(教会以外の学校や病院等の施設で働く宗教家のこと、亀田メディカルセンターでは牧師)も緩和ケアチームの一員として常駐している。 また、ペットも重要な“サポーター”の一員。Kタワー前の敷地内にはペットラウンジOne(ワン)もある。 |
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| ベッドサイド端末で操作する従来の“病院食”とは 一線を画する選択メニュー | |
| 病室は、4・5階に女性専用フロア一般室62室、6〜11階に一般室178室(それぞれ21平方メートル)。12階はエグゼクティブフロアとなっており、Aタイプ(60平方メートル)1室とBタイプ6室(45平方メートル)に、一般室17室がある。また3階の総合周産期母子医療センターには居室型分娩室6室をはじめMFICUやNICU、GCUがある(他に3階から11階までの各階にICUなどの集中治療室があり、計79床)。 各病室には三菱電機インフォーメーションテクノロジー社と開発した、タッチパネル式のベッドサイド端末が設置されており、前述のルームサービスや、院内ショップのショッピングサービスを利用できる。また全医師のプロフィールや検査手術の説明、院内施設の説明なども確認できる。登録により自分の電子カルテ(PLANET)を見ることや、服用中の薬や検査をセルフチェック画面で確認できる。 特筆すべきは病室での食事選択。常食の2メニューに14食の選択食。しかもオーダーは食事の2時間前まで変更が可能となっている。ユビキタスコンピューティングにより、食事制限が必要な場合は患者の端末には表示がされないようになっている。ベッドサイド端末ももちろん、院内セキュリティーなどを含め、電子カルテを核としたITの導入を積極的に行ったがゆえに可能になったことである。 |
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| 院内コンビニエンスストア | |
| またKタワー内ではないが、亀田総合病院A棟には24時間営業のコンビニエンスストア「ローソン」が入っている。もともとコンビニエンスストア自体、亀田総合病院としては30年程前から置いていたが、Kタワーの完成を機に現在の「「ローソン」となった。紙おむつや手術準備品などを取り扱っている点が街中の店鋪とは異なるが、飲料やお弁当、生活用品を中心に売れており、利用者に重宝がられている。今後病院内コンビニの事例はどんどん増えるであろう。 | |
| ALWAYS SAY YES! | |
| 亀田メディカルセンターではこのような画期的な施設・設備が、なぜ次々と実現できるのか。その答はキャッチフレーズ「ALWAYS SAY YES!」にありそうだ。100人の患者がいれば100通りのアプローチがある。あってもしかるべき項目については何事も、即座に「できない」「無理」と諦めるのではなく、どのようにすれば実現可能かを突き詰めていった結果の集合体が、亀田メディカルセンターであり、Kタワーであるのだろう。もちろん完成形であるわけでなく、時代によっても患者の求める医療施設への需要は変わっていく。亀田メディカルセンターの進化はまだまだ続くはずだ。 | |
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旧態依然といった批判も少なくない医療業界だが、近年様々な面において、改革、変革が行われている。 中でも病院・診療所のアメニティについては、その向上は目ざましいと言ってもよいのではなかろうか?